体のいろいろな反応

 

 ここからは大和整體のいろいろな手技(体の反応のさせ方)について触れていきます。まず「整体の手技でどこまでのことが可能なのか?」を考えますが、大和整體では基本的なものとして以下のことを行います。このどれもが間接的な効果ではなく、手技による直接的な効果(変化)です。

 

 筋肉の張力の調整/各種組織の離解/血液循環の促進/自律神経の正常化/局部的な神経機能の正常化/
 身体各部の失認の改善 など

 

 まず「筋肉の張力の調整」は、単純に「強い緊張を弛める」ことの他に、ある一帯の張力を均一にして安定状態を作ること」。また「強い緊張を弛めることで対応する緊張の弱い部分を正常化させる(逆もあり)」「筋肉の張力の正常化によって血液循環とともに同部位の神経活動も回復させる」「内臓の機能低下と関係する筋肉の緊張を調整することで内臓機能の回復を図る」などの「局部的変化」に加え、「全身の姿勢を変化させる(保護姿位や連動の改善)」「全身の緊張の中心である支点の解除による交感神経の抑制」などといった全身への変化も与えることができます。手技によって反応させやすい対象なので、いろいろと応用が効くことが利点といえます。

 

 これを補うものとしてあるのが「各組織の離解」で、本来は隣り合う組織が互いに独立して機能しているべきものが、機能の低下によって本来の動きを失い、互いが干渉し合う状態になると途端に双方の機能が低下します。これを手技によって「離解」し、各々に本来の機能を回復させるのが「各組織の離解」です。これは筋肉対筋肉、骨対骨、臓器対臓器といった同種組織間の場合もあれば、骨対筋肉といった異種組織間の場合もあります(細かくは筋肉や靭帯の「繊維間の離解」も行う)。

 

 「血液循環の促進」は、主に「毛細血管レベルの循環促進」を意味するもので、体への触れ方自体が特殊なのですが、特定部位の毛細血管を捉まえ、その働きを直接調整することで行う方法です。血液の循環というのは呼吸と同じでその人なりのリズムやパターンに沿って行われるため、循環量の変化こそあれ、循環の仕方自体はあまり変わるものではありません。これを意図的に調整していく施術です。

 

 「自律神経の正常化」は主に「交感神経の過剰な働きの抑制(相対的な副交感神経の活性化)」ですが、いろいろな方法を用いはするものの、基本的には交感神経の過剰な活動の依り代になっている局部的な機能異常を消失させることで、交感神経の働きを直接抑制することを主体としています(人によって何が対象となるかは違います)。

 

 「局部的な神経機能の正常化」は、対象部位を静止状態で維持、もしくは非常にゆっくりな動きを行わせるかのいずれかで、脳にその組織一帯の状態を正しく認識させ、それを自ら修正させることで神経反応を正常化させる施術です。これは「施術による再学習」と言い換えることもできます。体の正しい静止を前提とした施術で、神経の誤った活動を筋肉の緊張の僅かな変動で感じつつ行うため、神経活動の変化を直接感じながら行う施術でもあります。

 

 「身体各部の失認の改善」は、一定の事情からある部位一帯を脳が正しく機能させることができず、その部位を全身の機能によって「庇う」ことから生じる問題を改善する施術です。この「庇う対象」となっている部位では事前に脳からの命令で「機能が活性化できない状態」となっているので、この命令そのものを解除しなければなりません。これも静止状態の維持か、非常にゆっくりな動きを用いて、その部位を「庇う必要のない部位」であると脳に再認識させる機能の活性化を図ります。これらは非常に大まかな区分・説明なので、その内容に誤解を招きかねないと思うのですが、整体が「体の表面的な問題を改善する療法」という誤った認識が一般化しているので、その先入観をなくして欲しいためにあえて列記しました。