なぜ治らないのか 1

 

 先に「体は完全性を備える」と書きました。しかし実際には「治らない」から患者さんは来院されているわけで、では「なぜ治らないのか?」ということになります。ただ、ここでは先天性のものや事故などによる外傷、また特殊な愁訴・疾病は抜きにして「一般的な患者さん」を例にして考えていくことにします。ここで先の「完全性」になぞらえて一つ条件を付け加えますが、それは「体は本来自ら正しく機能しようとする(体自身に自らを律する機能がある)」ということです。これが意味するのは、体それ自体は本来壊れない(壊れても治癒する)仕組みになっているのに、それを扱う本人の意識(脳の働きや精神活動)が体に不当な干渉を強いることで、その働きを阻害しているということです。これらを前提とすれば、本来は自然治癒すべきものが治らない理由は以下の二つになります。

 

     イ)治癒に必要な体力がない(治るための機能的な余裕がない)
     ロ)頭部の何らかの働きが治癒の障害となっている

 

 イ)は単純で、ちゃんと体(もしくは頭)を休ませていれば治癒するものを、使い続けていることで治癒に必要な働きが充分に得られていないということです。つまり休むことで自然治癒が期待できる愁訴・疾病ということです。問題はロ)で、これには多くの理由が存在します。これはまず意識や精神の問題を省いて問題を機能面だけに絞った場合と、機能面以前に意識や精神の問題が大きい場合に分けることができ、整理すると以下のようになります。

 

     ハ)脳が体を正しく制御できていない(脳に機能的な不具合がおきている)【機能的要因】
     ニ)意識や精神の問題が体に誤作動を起こさせている【意識・精神的要因】

 

 ハ)についてはさらに以下のように分けることができます。

     ホ)体が正常に機能できない何らかの要因がある(既往歴など)
     ヘ)体の機能が複雑化することで脳が正しく管理しにくい状態にある

 

 非常に大まかな区分ですが、体が治らない要因は整理すると以下のようになります(施術を行う上での便宜上の区分)。もちろん以下の要因をさらに細分化していくことは可能ですが、大和整體の施術ではこの大まかな区分で体の問題を考えていくこととします(基本の段階なら当面はこの区分で事足ります)。

 

     イ)治癒に必要な体力がない(治るための機能的な余裕がない)
     ロ)頭部の何らかの働きが治癒の障害となっている
       ハ)脳が体を正しく制御できていない(脳に機能的な不具合がおきている)【機能的要因】
         ホ)体が正常に機能できない何らかの要因がある(既往歴など)
         ヘ)体の機能が複雑化することで脳が正しく管理しにくい状態にある
       ニ)意識や精神の問題が体に誤作動を起こさせている【意識・精神的要因】