5.統合の方法 補助2

 

 そもそも統合は、そこに必要条件が整えば風邪の高熱のように自然発生的に起こるものです。これは施術でも同じで、必要条件が整っているからこそ、擬似的な統合が可能となります。統合の必要条件とは、まず全身の諸機能に大きな偏りがないことです。同じ風邪による高熱でも、その機能に偏りが大きい場合は「ただの病的な風邪(発熱)」となり、小さい場合には「統合の過程としての発熱」となります。施術によって統合を引き起こしたい場合には、まず体に生じている機能的な偏差を極力減らす必要があります。

 

 ただし私たちの行う施術というのは、もともとが機能的な偏りによって生じている愁訴の解消を目的とするので、施術を重ねること自体が「機能的な偏りを減らすこと」となります。しかし通常の施術で対象となるのは「大きな機能の偏り」であり、細部にはなかなか目が向かないものです。統合というのは、細部までの機能の偏りを丁寧に打ち消していくほど起こりやすくなるものです。ここまでの説明で大和整體が「体の細部機能の変化」に拘ってきた理由の本意はここにあるわけで、大和整體の施術の基本である「筋肉の張力を全身で均一化させること」が統合への近道となります。

 

 ある関節を対象に、その関節に関わる筋群全ての張力を均一化すると、その関節が全身の中で独立した安定状態を保つことになります。これを主要な関節に同じく行うことで、結果的に全身の関節が同様に安定状態に入ると、運動器の機能的な偏差が一時的にでもほぼ消失します。それは同時に交感神経の過剰な働きを大幅に抑制し、相対的に内臓機能を活性化させ、体の内外に生じていた機能的な偏りを大幅に減らすことになります。そして機能的な偏差が統合に必要な一定範囲内に収まった状態であれば、統合は自然に起こりやすくなりますし、施術でそれを引き出すことも容易になります。

 

 重要なのは「細部の機能を緻密に整えること」です。誰もが施術で好む「大きな変化」というのは条件さえ整えば体自身で引き起こすことも難しくはありません。しかし、細部を緻密に変化させることは非常に膨大なエネルギーが必要で、なかなか体自身では行うことが出来ない作業です。これを施術者が代わりに行うことで統合の必要条件が整いやすくなるのです。そもそも施術を通じての理想的な統合というのは、施術者が統合を意図していない状況で、突然、自然発生的に生じるものです。施術者が統合を狙ってしまえば、そこで起こるのは「低次の統合」にしかなり得ません。