4.統合の方法 補助1

 

 体の統合とは本来、体自身が自然に引き起こすべきものです。それを施術によって行ったとしても、先に説明したようにそれは断片的な反応でしかありません。よってここでは施術によって起こす統合反応を「擬似的な統合」としておきます。こうした擬似的な統合は、あくまで「体自身による本来の正しい統合が起こるための下準備」に過ぎません。

 

 統合とは、体にある一つの反応が起こり、周囲の組織がそれに連鎖的に反応し、それが体の内外を問わず全身へと均等に広がっていく状態を指します。これは擬似的な統合でも同じです(その反応対象が限定される)。これを引き起こす簡単な方法として、これまで説明した「飽和」を全身に広げるものがあります。局部の組織、その機能を可能な限り充実させ、その局部のみに安定状態をつくるのが「飽和」ですが、その安定状態を崩すことなく周囲へと広げていきます。最初は施術者主導でその反応が広がっていくのですが、これを丁寧に行うとある段階でそれが「体自身の行う反応」となり、施術は後追い(後押し)に変わっていく感覚となります。そうなればあとは統合まで、体自身が行ってくれます。

 

 重要なのは体自身が行うまで誘導するということで、全てを施術者が行ったのでは意味がありません。それで全身の諸機能が整ったとしても、それは統合とは全く異なる状態となってしまいます(体の反応に「乗っかる」という感覚の施術)。これは体自身がまず局部に起こった機能の安定状態を正しく受け入れてくれることが前提です。体の局部に安定状態を作り出すこということは、そこで体の中に「局部の安定状態」と「全身の慣れ親しんだ状態」という要素が混在することになります。通常は、体は全身のバランスを鑑みて、局部の安定状態を以外の全身に馴染ませることで施術による変化を限定的に受け入れるわけですが、これを「局部の安定状態」と「全身の不安定状態」に置き換えることで統合の準備が成立します。

 

 局部の安定状態を脳に充分以上に認識させることができれば、その時点で体の中で「最も強い快感覚」を有するのはその局部となります。するとそれ以外の「慣れ親しんだ状態」は一転して「不快(不安定)な感覚」に切り替わることになり、体(脳)にとって「改善すべき対象」となります。こうした認識の変化が起これば、体は安定した局部を基準として、全身の機能を自発的に変化させていきます(ただしその反応は現状の体で可能な範囲の反応にとどまる)。