3.統合の区分

 

 こうした施術による統合は、それがある種の身体反応を強制的に強いるものであれば、それは体自身が作り出す自然な統合とはかけ離れてしまうため、予後の安定が期待できなくなります。施術による統合は「体に生じていた機能的な差異が施術によって薄まり統合しやすい状態にある(しかしなかなか統合してくれない)」という時に止むを得ず行うものであり、体の反応にあわせてゆっくりと後押しするようなものであることが理想となります。

 ここでは施術による身体機能の統合を「補助・誘導・強制」の3つに区分して考えていきます。まず「補助」は、体自身が行っている身体反応を妨げることなく、ただそれを後押しすることで統合を図る施術です。考え方としては「体の独力では統合が難しいものの何か少しの後押しがあれば統合できる状態」といった時に、その後押しとして行う施術です。そこに施術者の意図は介在せず、ただ体の反応に合わせて補助的に施術を行うことで身体反応を促進していきます。これによって起こる統合は、体自身が行う統合に最も近いので、統合した後の反動などは起こらず、統合の安定状態が持続しやすくなります。

 次に「誘導」ですが、これは施術者が意図的に体のある種の反応を引き出そうとして行う施術です。これまでの施術によって体は非常に整っているものの、統合の方向への反応自体が見られないような場合に、そのきっかけとして行う施術です。ここでの「きっかけ」というのは、主に「部位」としての問題です。統合は本来、それまで全身の諸機能がバラバラに機能していたものが、風邪や施術などを通じてその機能が整い、全身の機能が均一化している状態に起こるものです。よって全身の機能がほぼ均一化しているにも関わらず統合の反応が見られないということは、体力自体の不足や局部の回復力の不足(現状以上の機能向上が難しい)、脳の処理能力の低下などが考えられます。そうした場合には、術者の施術から統合反応を引き出し、統合反応が始まったら後は体に任せて「補助」に徹します。

 「強制」は、主に体が統合しやすい状態ではない人に、止むを得ず一時的な安定を与えたい場合に行う条件付きの施術です。体の状態が著しく悪く、体力の不足や身体反応の不安定さから通常の施術ができない、またはよい反応が期待できないような場合に、表面的な機能だけでも統合させることで体に一時的な安定状態をつくるための施術です。この統合はあくまで表面的な反応に過ぎませんが、まずは通常の施術を行える状態にまで体を回復させるためには有効です。