体の二次変化 2

 

 頭部に意識が集中している状態(頭部を感覚的な体の主体と捉えている状態)では、その対象が体部であった時とは違い、頭部の詳細な機能が活発化します。その結果として意識が体部にあった時には、一定以上に整いようがなかった頭部の活動が簡単に整いやすくなります。そうして次第に頭部の状態が体部と等しく「穏やか」になると、そこで初めて「体部と頭部の感覚的な境界」がなくなり、全身が一体の感覚となります。ただしこの「全身」とは体壁系に限定した意味であり、体の外側が均一に揃うということです。外側が均一に揃うということは、外側で「見るものがなくなる」ということであり、その結果として体への意識は次の「内臓系」へと移行することになります。この変化は体への意識がそれまでの「体壁系」から「内臓系」へと移るという点で大きな意味を持ちます(それまでの「運動器(体壁系)主体の感覚」から「内臓系主体の感覚」に移行する)。

 

 体の感覚が内臓系主体になるということは、それまで朧げにしか感じていなかった「内臓の活動」をはっきりと感じ取れるようになるということです。しかしそれはほとんどの場合「それまで気付かなかった痛みを感じる」ことに繋がるため、初期の段階では激しい痛みや苦しみを伴います。この時点では頭部の時と同じく、すでに「穏やかな体壁系」にはほとんど意識が向きません(無愁訴)。そして時間の経過と共に内臓系の状態が体壁系に反映され、体壁系にも愁訴がでるようになるのですが、これも内臓系との関わりの中で生まれる愁訴でしかありません。この状態は内臓系が正しく機能できる状態でもあるので、徐々に内臓系の働きが正常化し、やはりその働きが体壁系と同様に穏やかなものに落ち着くと、最後の「心臓」を中心に体の感覚を感じるようになります。ちなみに二次変化のどの段階であっても、その反応の過程でやはり一次変化の反応が生じるので、どの段階でも一次変化を終えることで二次変化へ進むという行程に変わりはありません。

 

 体への意識が「体部中心」から「頭部中心」へ、また「内臓中心」へと移り変わる時は、身体機能のシステムが根本的に変化する時でもあります。体部から頭部への感覚の移行は「頭を守る」という意識が消え去り、全身を一体として使う感覚へと変化しますし、内臓系への感覚の移行はそれまでの「体壁系中心の動き」から、体に内外の区分のない「一体化」という感覚へと変化します。ただしこうした二次変化も、一次変化と同じく「体部から心臓まで」を一周と捉えると、これを何周も行っていくことで身体機能は段階的に高まっていくことになります(二次変化に終わりはないと考えて貰って構いません)。大和整體では施術を長く続けていき、体が確実によい状態へと進んでいるのならば、体は必ずこうした変化(体の認識中心の変化)を経るものであると考えているのです。