体の一次変化

 

 ここでは大和整體の施術を進めていくに当っての、体の変化の傾向について説明をしておきます。まず「支点の解除」から「連動の回復」と進み、その後に「足部から整える」と施術を進めていった場合、そこで起こる変化は体の「上下の分離」です。これは先に「足部からの整う上向きの力と上位からの歪む下向きの力がぶつかり合う」と説明したことと同じです。足部の機能を本格的に整えていくと、その効果は徐々に上位へと波及していきますが、この時の「整える力」はずっと強いものになっているので、逆に上位からそれを妨げようとする力もそれまでよりずっと強いものに変わります。ここで両者の力のぶつかり合う部位が一新されるのですが、大抵は最初よりずっと下位になります(足部の本格的な機能が上位へ波及するのは難しい)。あとは足部への施術、または必要に応じて他部位への施術を行いつつ、その境界を徐々に上へと押し上げていきます。これが「上下の分離」で、この段階での目標は、足部からの整う力を頭部までの全身に押し広げることです。

 

 足部からの整う力が頭部までの全身に達すると、体は次の段階である「左右の分離」へと移行します。「上下の分離」を終えた時点で体はその全身が一時的に整っていることになるのですが、その状態が一定時間続くと整っていた体が崩れて、左右で身体機能の分離が起こります。これは左右の機能がチグハグになる状態で、左右それぞれの半身が独立して機能することによって起こります(脳が左右半身を個別に管理している)。この状態になると、左側に行った施術の効果はこれまでのように全身へと波及せず、ほぼ左半身のみの効果に限定されます。この場合、整えていく順序は基本「左半身→右半身」で、これは先に副交感神経の働きが優位な左半身を整えることが内臓の回復に繋がり、身体機能を内部から安定させやすくなるからです。まずは左半身について、やはり足部から施術を行い頭部まで均一に整えていき、それが終わった後に右半身に同じ流れの施術を行っていきます。先に左半身を安定させると右半身も安定しやすくなるのですが、これを逆にすると右半身が安定しないので再度右半身を整える施術が必要となります(右半身→左半身→右半身となってしまう)。

 

 これによって左右の機能が整い、全身が安定した状態に入ると、体はまた次の段階となる「内外の分離」へと移行します。今度は体の内=体幹部が機能的に安定し、弛緩した状態になっているのに対して、四肢や頭部といった末端に緊張が集中する状態となります。ここでの目的は五肢(頭部と四肢)の機能の正常化と弛緩なので、施術対象も主に五肢となります。施術によって全身の内外が均一化すると、これで基本的な体の変化が「一周」することになります。大和整體ではこの一周を「体の一次変化」とするのですが、この一周で体に必要な条件が揃っていれば、次は「体の二次変化変化」という段階へと移行します。しかし一周してもその条件を満たさない場合は、また体に「上下の分離」が起こり、次の一周を行わなければいけません。人によっては次の「大変化」に入るまでに、この行程を何周も繰り返さなければならない人も多くいます。

 

※ 体の「一次変化・二次変化」はこれまで「小変化・大変化」としてきましたが、一次・二次の方が意味合いとは適するので変更しました。