体の予備動作 2

 

 予備動作というのは「ほんの些細な動き」です。これは僅かな緊張によって簡単に遮られてしまうものなので、その改善に必要なのは動作に伴う「快感覚」です(その方向に動かすことが体とって心地よいという感覚)。ただその方向に「動きをつければよい」ということではありません。いかにその方向の動きに「滑らかさ(自然さ)」を盛り込むかが重要で、そこに僅かでも違和感があれば正しい予備動作は起こりません。時には何度も何度もその方向への動きを補助し、その方向へ動くことに対して「安心感(快感覚)」を植え付けることも必要です。これについては大和整體の施術の中で「1cmを一分かけて動かす」などはよく行っているので、イメージはしやすいと思います。

 

 そもそも予備動作の有無というのは、その要因を「大きな力」と「小さな力」の二つに分けて考えます。これはその方向に強い抵抗が生じているという場合と、その動きす最初の僅かな力に対して抵抗が生じているという二つの要素から成立しているということです。「大きな力」については通常の施術で改善しやすいのでが、問題は「小さな力」なので、その扱いには注意が必要になります。動作というのはそれがどんなに大きな・強いものであっても、その最初の「動き出し」というのは非常に僅かな力や動きから始まるものです。よって動作に異常があるという場合、疑うべきはその「動き出し」であり、それはほんの僅かな動きの有無を見極めることとなります。体というのはその全身が正しく機能していれば、「指先の僅かな動き」に対しても全身が等しくそれに反応して動きを示すものです。ここでは予備動作について、分かりやすく説明するために「患部の周囲の動き」を注視しましたが、実際の予備動作は全身に起こる同時反応なので、患部とは全く関係ないと思われるような遠位の機能が愁訴に深く関わっていることも多くあります。最初は患部の近隣の部位の動きを注視し、その範囲を次第に広げていくことで、全身の諸機能の繋がりが見えてくるのだと思います。

 

 予備動作の動きの確認はその対象を「骨」に限定して行ってみて下さい。運動機能の根幹となる骨が動いていれば、それに着く軟部組織も従って動きます。視診の段階では予備動作が損なわれているその不自然さを「筋肉の動きの違和感」によって感じますが、それを改善出来たか否かの確認は「骨」を対象とするのです。基本の段階ではこうした施術の対象は「筋肉」となるのですが、筋肉の機能を改善した結果が骨に反映されていなければ意味はありません。施術の結果を「筋肉の機能」で見てしまうと、そこに見落としが生じやすくなるのですが、骨を対象とする限りはそうした見落としが起こることはありません。