3.一般的な入浴方法

 

 入浴ではよく薦められるのは「半身浴」です。温度を低めにし、胸が浸かるか浸からない程度で長時間入る、という方法です。これがいいとされる理由ですが、熱いお湯では神経が高ぶりやすいですし、温まった感じはしますが、体の深部まではなかなか温まりにくいのです。体に無理のない温度で緩やかに温めるのがいいのです。手を湯につけると早くに体が温まります。

 

 「胸まで」「腰まで」という理由は、胸を浸けると心臓に水圧がかかり、心臓の圧迫によって血液の流れが分散するので、それを避けるためです(高齢の方や心臓に心配のある方は注意が必要です)。もう1つは肩を出すことで体内の熱を逃がす場所を増やし、体温調節を容易にすることです(のぼせない)。半身浴の目的は「無理なく体を芯から温める」ことにあります。この結果、自律神経は調整され、全身の筋肉は緩み、全身から汗の出る代謝のいい体へと変わっていくのです。

 

 半身浴は、そもそも欧米式の入浴法なので、日本人では合わない人も多くいます。日本的な入浴はやはり「熱い湯に肩まで浸かる」ですが、これは、神経の高ぶった状態を熱い湯に長く入って更に高ぶらせ、反発で神経を緩めようとするものです。熱い湯に我慢して入っている間は体が極度に活発になりますが、湯を出た途端に開放された安心感も手伝って、神経は急速に緩んでいきます(神経は活発になりすぎると逆に下がろうとします)。

 

 これは、銭湯に行ったことがある方なら、入浴後のすごい脱力感に覚えがあると思います。効果は大きいのですが、半身浴より体への負担は大きいので、無理に実践することはお薦めしません。実際にはその時の疲れに応じて、使い分けていくのがいいと思います。