2.汗のかき方

 

 「私は汗かきです」という人がよくいますが、そういう人はたいてい、汗をかく時は胸や背中、首まわり、顔などの限定した範囲でばかり汗をかく人が多いです。これは本来、体温調節のために全身から出るはずの汗が、上記の局所からしか出なくなっており、全身分の汗がそこに集約するので「よく汗が出る」と錯覚しているのです。

 

 これは先の「交感神経」が関係しますが、神経が高ぶる時は、体は末梢の血管を閉じることで、主要な血管に血液の流れを集中させます(手足は末梢に属します)。活発に動くために隅々まで血液を流さず、代わりに全身に早く循環させる、という仕組みです。末端冷え性という方は、たいていこれに属します。これに汗腺が同調して、手足などからは汗が流れにくくなるのです。

 

 入浴によって先のように体が緩んで(副交感神経)いくと、全身の隅々まで血液が緩やかに循環するようになるので、この状態では汗は全身から分散されて出るようになっています。ただ本来は、日常的に全身から汗をかけることが理想なので、長い入浴は知らず知らずのうちにそうした訓練になるのです。ただ問題は、いくら入っても手足から汗が出ない(温まらない)という方です。

 

 そういう方は、神経の高ぶりが強すぎて、入浴でも自律神経が切り替わらないのです。強制的に切り替える方法としては、手足を集中的に温めることで、手足を湯船の底につき、温度を高くします(45度前後)。これは手足が熱ければいいので、体を出す、お湯を減らす、などして構いません。手足が緩んで副交感神経に切り替わった瞬間に全身からどっと汗が出ます。ただ、心臓の弱い方はご注意下さい。