3.安静の勘違い

 

 風邪をひいた時は「安静に」となりますが、ただ横になっていることを安静と思っている人は多いと思います。安静とは心身を休めることで、とりわけ「脳」を休めることに大きな意味があります。体の不調の多くは交感神経の昂り⇒自律神経の崩れ、から起こりますが、この時は脳の活動も活発になりがちです。脳が休めば体も休まっていくのですが、活発になっている脳はなかなか休もうとしません。周囲に何か刺激になるようなものがあれば、すぐそれに反応してしまうからです。例えば風邪で寝ている時にテレビを観る、本を読む、などをしていると、脳はそれを刺激と感じるので、活発な状態が持続してしまいます。このように脳が休まない状態では、体もリラックスできず、充分な自然治癒力が発揮できません。本当の安静というのは、脳までが休まることで体全部がリラックスしている状態をいいます(これが本当に実践できると大抵の病気などは良くなります)。]

 

 睡眠にも同じことが言えます。睡眠とは脳が完全に休める唯一の時間で、この時に脳が充分に休めると、その間は体の自然治癒力は最大限に発揮されます(自然治癒力というと「特別な力」と思う方が多いのですが、実際は体が自然な状態にあれば、自然に発揮される力です)。ただ、現代人の生活は様々な刺激が多すぎて、それを処理する脳に負担がかかりすぎ、脳の活性化⇒交感神経の亢進という緊張による体の不調が生じやすくなっているのです。人間の体が昔の刺激の少なかった生活から、100年足らずの間に刺激だらけの環境に変化(特にパソコンなど)しすぎてしまったため、それに対応が出来ないのです。本来は刺激⇒疲労の量が増えれば、それに応じて「安静」の時間を多くとる必要があります。現代人の体の不調の多くは、このバランスがとれていないことから起こるものです。