からだの感覚

 

 野生動物は自分の体の状態を自分でよく分かっています。イヌやネコを飼ったことがある人なら、イヌやネコが調子が悪くなると、餌を一切口にしくなり、、水も飲まず、ただひたすら寝続けるのを見たことがあると思います。体の回復に全力を注ぐため、他の余計なことは一切せずにただひたすら治癒を待ちます。これは「治る」ということの基本的な仕組みであり、これは人間でも同じことです。

 しかし私たちは自分の体の状態がよく分かりません。これを「人間はそういう風にできている」と思っている人が多いのですが、そうではありません。もとの仕組みはイヌやネコと同じです。違うのは、私たちが「外のことばかりに意識を向けている」ということです。仕事や人間関係にテレビにパソコンなど、体の外ばかりに意識を向けるのに忙しく、体の中のことにかまっている時間がないのです。体の中に注意を払う時間が少なければ、中の働きが分からなくて当然です。人は「のんびり」暮らしていれば、それだけで自分の体に敏感になれるものです。

 自分の体の感覚に敏感であれば、自分の体が「いまどうしたいのか」を感じ取り、それに応じて生活をすることができます。これは「自分の頭と体」が一致しているということであり、そうした生活をしている人というのは健康です。野生動物ほどに敏感になる必要はないとしても、ある程度は自分の感覚に敏感であった方が便利です(自分の体に変調があればそれを気付ける程度には)。そのために何をすればいいかと言えば、まずは睡眠をたくさんとってみて下さい。やすむ時間が多ければおおいほど、活動している時間が短ければ短いほど、体の感覚は正常に近づいていきます(野生動物がたくさん寝ることでそうしているように)。

 逆に「体の中が分からない」からといって、一生懸命努力してそれを知ろうとするのは逆効果です。感覚というのは「体からやってくるもの(自然にわき上がってくる感覚)」です。やってくるものを受け取るということは、その全部を感じているということ。それを「知りたい」と探しにいくと、無意識に「自分の見たいもの」ばかりを追ってしまい、結果として自分の体の一部機能ばかりに敏感になってしまうものです。これでは意味がありません。穏やかな生活の中で何となく感じられるもの。これが正しい感覚の基本であり、そうした生活を続けることで、自分の体と仲良くなっていけるのです。