足部の構造

 

 足部というと、一般的には足関節より先の足根骨、足指などの一帯を指しますが、大和整體では多くの場合、下腿を含む膝関節より下部の全てを指します。これは足部の機能が下腿と一体化することで本来の機能を発揮できると考えるためです。この感覚はつま先立ちをして貰えば分かることですが、体は踵に重点的に接地をしてしまうと、足部と下腿の働きが分離されてしまいます。これに対してつま先立ちを行うと、指先から下腿が一体化した状態となり、足部のかかる負荷を下腿の範囲にまで分散することができます。これは体を支えるという作業を足部のみで行うか、足部と下腿の共同作業で行うかの違いです。

 

 動物を例に用いると、動物はその殆どが立つ・歩く時に踵を接地しません(象ですらそうです)。そもそも足部の役割とは、体を支えることだと考えられがちですが、実際には体を持ち上げる役割も持ちます。足部は体重によって地面に押し付けられるだけではなく、体を地面から持ち上げることでクッションとしての機能を果たします。これを行うためには足部より下部の足根骨、足指の骨、それに付随する筋群だけでは力不足なので、下腿の力を借りざるを得ません。しかし足部の加重が踵へと集中すると、この足部と下腿の連繋が途切れやすくなってしまいます。そして殆どの人ではこの連繋が充分に働かず、足部と下腿の協力によって体を支えるということができなくなっています。

 

 足部は五本の指とそれをさせる足根骨の繊細な構造、これに二本の骨によって柔軟性を持つ下腿が協力することによって、下肢は地面のどんな状態にも柔軟に対応し、バランスをとることが可能になります。この場合、体のバランスをとる作業の殆どはこの膝関節以下で殆ど行われるため、膝関節より上では殆どバランスをとる動きが必要ありません。しかし足部と下腿の連繋が途切れると、足部だけではうまくバランスをとることができないため、腰部や肩を使ってのバランス修正が必須となります(大和整體では人の体をどちらのバランスの取り方で対応しているかが診断の重要な基準となります)。

 

 実際に足部と下腿部が密接に連繋し、膝関節より下部でバランス修正ができている人では、膝が痛むことも腰が痛むことも殆どありません。特に膝関節については、下腿を含めた足部がバランスをとることが、脛骨の関節面の位置を常に安定させてくれるため、脛骨と大腿骨が連繋しやすくなります。しかし足部と下腿部の連繋が途切れると、足部には加重に伴う捻れが生じ(体を支えきれないため)、下腿部はその捻れに対応するために動きの自由度を失います。その結果として脛骨の関節面は不安定な位置となりやすく、大腿骨との連繋がうまくいかず、膝に痛みが生じやすくなります。大和整體では膝の痛みを初めとする多くの体の不安定生に起因する愁訴の解消を、この足部と下腿部の連繋回復によって改善していきます。